エフェクターの使い方講座 第3回 トゥルーバイパスとバッファードバイパス

前回からだいぶ間が空いてしまいました。
今回のエフェクターの使い方講座は、エフェクターを「使わない」時のことについてです。
ギターからの信号をそのままアンプに伝える、ということを考えた場合、使わないエフェクターは「接続しない」のが最良です。しかし、ライブ中や曲の途中でケーブルのつなぎ替えを行うというのは現実的ではありません。
そのため、エフェクターには「使わない」ときのためにフットスイッチが付いています。今回はそのスイッチについてのお話になります。

「トゥルーバイパス」「バッファードバイパス」といった言葉を聞いたことがあると思います。バイパスというのは、エフェクターがOFFになっている時に、エフェクター本体の回路を迂回(バイパス)する、という意味です。
このバイパスの方式にはさまざまな種類がありますが、今回は大きく2種類に分けてみましょう。

トゥルーバイパス

トゥルーバイパスというのは、エフェクターがOFFの時、擬似的に「接続していない」状態を作り出すバイパス方式です。ON/OFFを示すLEDの無いエフェクターに使われた古くからある方式で、最近はLED付のモデルでも多くがトゥルーバイパスを採用しています。接続方法を変えた「ミレニアムバイパス」や、リレー回路を使った「ラッチングリレー式バイパス」などのようなタイプも、トゥルーバイパスと呼ばれることがあります。(細かく書くと違うのですが、まずはおおまかに考えてください)

特徴としては、エフェクターがOFFのとき、それが「無いもの」として扱われるという点です。すなわち、OFFになっているエフェクターは、ギターサウンドに影響を及ぼさない状態である、ということです。
しかし、エフェクターのON/OFFにおいてケーブルをつなぎかえている状態を擬似的に作り出しているため、使用時の環境等によって、スイッチを押すとポップのイズと呼ばれる「ポン」という音が出てしまう場合があります。

バッファードバイパス

対して、バッファードバイパスというのは、エフェクターがOFFになっているときにも、本体に組み込まれたバッファ回路を通るということです。
BOSS、Ibanez等の数多くのエフェクターがこちらを採用しています。
特徴は、OFF時にもバッファアンプを通すことで、ON時とOFF時にギター信号の強さ(インピーダンス)が変わってしまうことを防ぐと同時に、長いケーブルを接続したりしても音の劣化を抑えることができるという点です。その代わり、エフェクターをOFFにしていてもバッファを常に通るため、そのエフェクターを接続せずにアンプにつないだ場合と比べると、音に違いが出てしまいます。しかし、こちらはON/OFF時にポップノイズはほぼ発生しません。

最初期のエフェクターは、最も単純な構造のトゥルーバイパスを採用している場合がありました。
その後、使われるエフェクターが増えてくるにつれ、エフェクターの状態(ONかOFFか)を表示するLEDの装備が一般化され、同時にバッファードバイパスのモデルが増えてきました。
その後、フットスイッチそのもののタイプを変更することで、LEDが装備されたエフェクターでもトゥルーバイパスを採用することができるようになり、現在ではほとんど全てのハンドメイドエフェクターがトゥルーバイパスを採用する形となっています。
そのため、現在では「トゥルーバイパス=良いエフェクター」という価値観がどこか一般化しているように感じます。ですが、エフェクターの善し悪しとトゥルーバイパスか否か、というのは関係ありません。
そのエフェクターの音が好きかどうか、そして、足下のシステム全体での音はどうか、ということが最も大事だと思います。

今回は、簡単にトゥルーバイパスとバッファードバイパスの特徴をご紹介してみました。
次回は、「バッファーとは何か」ということを書きたいと思います。
どうぞお楽しみに!
 
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