ZTアンプの開発者インタビュー!


驚異のサイズと大音量、そして高い音質で、革命的とも言われたZT Amp Lunchbox。新製品のClubも好調なZT Ampの開発者、Ken Kantor氏のインタビューを載せたいと思います。
(このインタビューは、Lunchboxが発売された直後に行われたものです。)

現在ZT Ampに在籍するKen Kantor氏は、1981年にMITのArt and Media Technology学科の第一期生として卒業しました。
数々のデザイン技術に関する賞を獲得したKantor氏の業績は、アメリカでは“A genuine audio legend,”をはじめとして、様々なメディアでも取り上げられています。

Kantor氏はまた、数々のオーディオシステムに関する会社を立ち上げ、Jensen社のシニアテクニカルエグゼクティブとしても活躍しました。
そして数年後、彼は革命的な発明…ZT Amp Lunchboxを作り出したのです。

Lunchboxは、多くのギタリストが思い描いていたアンプ…小さく、ポータブルでありながら大音量で、しかも良いデザイン、というアンプを現実のものとしました。
しかし、最も驚くべきはその音がすばらしいということです!
さっそく、そんな発明をしたKen Kantor氏にインタビューをしてみましょう。
 

──まずは、あなた自身について教えて下さい。

Ken Kantor(以下KK):このインタビューを企画してくれてありがとう。ZTが誌面に載るなんて夢のようだよ。まず、私が話す教訓は「生粋の機材マニアや、音楽愛好家が最高の音を求めるなら、まずケーブルからこだわりなさい」ということだ。オーディオ機材の設計には、30年以上の情熱とキャリアがある。スタジオ向けの機材から、MP3プレイヤーやホームシアターに至るまで、あらゆるものを作ってきたよ。音を作ることが私の生きがいなんだ。音に取り付かれた人のためだけでなく、もっと実用的で使いやすい物も作っていきたいと思っている。
 
──ギターや音楽に関心を持ったのはいつ頃ですか?

KK:アマチュアの音楽は私の人生の一部だ。だから、私の音楽に対する思いは、もしかしたら生まれつきなのかも知れない。赤ん坊の頃はアコースティックギターに絵を描いていたし、6歳になると音楽のレッスンを受けるようになった。15歳になる少し前くらいだったかな、自分の第二の腕としてのギターとアンプを買うために貯金していたんだ。ギターは破壊してしまったが、アンプはまだ手元に置いている。有名なハリウッドアンプだ。尤も、適当なリペアがなされてボロボロだったけどね。15ドルだった。
 
──その頃にギターやアンプの改造もやりましたか?

KK:もちろんさ!ロックが好きで、科学博覧会も大好きな人にとって、アンプへの興味が高まるのはとても自然なことだからね。他のミュージシャンと友達になるよりも、アンプやエフェクターをいじくりまわすことが究極の楽しみだった。そして、それがこの世界に入るきっかけになったんだ。
 
──ギターアンプメーカーを設立するきっかけは何ですか、またなぜ設立したのですか?

KK:まず、「なぜ」から答えよう。簡単に持ち運びの出来る小さなアンプはたくさんある。だけど、それらは、特に大きな音の出る楽器と一緒にライブステージで使える代物ではなかった。最近思ったんだが、多くのメーカーは、小型アンプは音量が小さいものだという偏見があるような気がする。一方、ライブステージに据え置くような大きなアンプはすばらしい音を出す。しかし、それらのアンプは大きく、重たく、高価だ。
数年前…2007年に、この問題について真面目に取り組み、いくつかのプロトタイプに新しいアイディアを加えながら、中心となるエンジニア、デザイナー、ミュージシャンと共に開発を始めたんだ。私たちは、シンプルでコンパクト、しかし一切の妥協をしないで作られたものをプレイヤーに提供したいと思っていた。そして、それがLunchboxの、そしてZT Ampのコンセプトになったんだ。
 
──Lunchboxの開発で、どのようなインスピレーションを受けましたか?

KK:ほとんどの電気製品は、一昔前よりコンパクトになっている。TVやスピーカー、コンピュータ、プレイヤー…でも、ギターアンプには未だに技術革新が起きていない。40〜50年代のデザインを未だに使っているんだ。ZTでは、ギターアンプを、クラシックの良さを活かしながら、「現代の技術」で作っているだけなんだ。
私は、ギターをアンプにプラグインすること、ハーモニカとマイク、ピックアップ付のヴァイオリン、ドラムマシンをワウペダルにつなぐこと、そういうことよりもクールなことはないと思っている。感情と音楽の持つ力と影響力を否定することは出来ない。これ以上のインスピレーションはないでしょう!
 
──小さくてラウドなアンプ、という構想は最初からあったのですか?

KK:明確にあったよ。まず、私はこれまでに存在しないものを作りたかった。ほとんどが失敗作か、誰かがすでにうまくやった後だったけどね。
ZT Ampを設立してから、世界のミュージシャンと交流するためによくいろいろなところに行くんだけど、興味深いのはほとんどの場所で「ライブ」が重要視されているんだ。ミュージシャンもオーディエンスも、ライブパフォーマンスの価値を再発見している。Lunchboxの設計をはじめたころ、このアンプをできればライブで使って欲しいと思っていたんだ。
それから、一番の嬉しい驚きは、プロミュージシャンのユーザーも多いということなんだ。自分のアンプがどれだけ大きく、重く、高価でも気にすることのないプレイヤーが、純粋に音質の良さでLunchboxを選んで使ってくれている。エンドースしているわけじゃないのに!
 
──いくつのプロトタイプを作りましたか?

KK:全体的な形が見えるまで、4つの大きな開発ステージがあった。それぞれのステージで、5〜6回、回路を改良したよ。あと、スピーカー部は約10種類を製作した。Lunchboxの6.5インチスピーカーは独特な設計になっていて、アンプの大出力を受け止める工夫がなされている。そして、回路と筐体、スピーカーが完成してから、次は音の特性を追求したんだ。様々なギター、プレイスタイル、使用環境でのデータから、音をファインチューンしていく作業だ。とても楽しかったけど、すごく時間がかかったよ。
 
──どのくらいの時間がかかりましたか?

KK:2009年の3月くらいからかな。パイロットランとベータテストユニットが出来たのがその数ヶ月前の話だね。初期のプロトタイプを製品の筐体に入れたらどうなるだろうね。試しにやって、オークションに出してみようか(笑)
 
──小型アンプで大音量を作り出す技術とは?

KK:それは「超高純度のアンオブタミウムと、ハンドワイアードのプルバトロンを使っているからだ」なんて冗談で言うこともあるけど、時々信じちゃう人もいるんだ。(訳注:アンオブタミウムとプルバトロンはどちらも存在しない物質)
大事なことが3つあるんだ。
まずは、相乗効果。全ての、アンプを構成するもの…電源、プリアンプ、出力段、キャビネット、スピーカー…それらは、一つの形で設計されている。Lunchboxと一般的なアンプを比べると、Lunchboxはそれらが全て最適化されていて、サイズをより小さくすることができるんだ。

続いて、信号の最適化。Lunchboxには、信号を音に変えるプロセッサーが入っている。これは、従来のイコライザやダイナミクスプロセッサーを超えるもので、またそれらの両方の役割を果たすことができる。このプロセッサーの目的は、従来のプロセッサーを超える出力を作り出すことにある。

最後に、オーバーデザイン。Lunchboxを選んでくださった方に、それがただのおもちゃや、練習用アンプではないとすぐに分かっていただく。Lunchboxは、大出力で、それを受け止めるスピーカーを採用している。しかし、筐体が強く振動してしまっては意味がない。オーバーデザインは他にも随所にちりばめられている。ワッテージ、デシベル…数多くの要素がそれにあたる。
 
──音楽業界以外に興味をお持ちのことはありますか?

KK:楽器業界以外のことは忘れていたよ。う〜ん、もしかしたら私は趣味を持たない人間なのかもしれないな。人とは違った経験や旅をしてみたい。政治討論や珍味など…でも、音楽とかけ離れたことは想像できないよ。
 
──ZT Ampの今後の活動予定を教えて下さい。

KK:分かった。我々はいろいろなデザインのプロダクトモデルを有している。だけど、ZT Ampは大量の製品をラインナップするつもりはない。新製品は、本当にプレイヤーが必要としている物が完成したと確信しないと発売しない。今、Lunchboxは実際に市場に出ていて、お客様からの貴重なご意見をたくさんいただいているので、それを是非とも反映させるような製品を作りたいと思っている。
実は1つすでに決まっていて、12インチスピーカーのコンボアンプを開発中だ。(訳注:ZT Amp The Clubのことです。)Lunchboxよりは大きくなるが、大口径スピーカーの採用で強力な低域を出力できるようになる。他にも数点、大きなモデルを考えている。
 
──どうもありがとうございました。Lunchboxはすばらしい機材で、プラグインすれば世界が驚くのは間違いないと確信しています。

KK:この場を設けてくれて本当にありがとう。感謝しています。

これまで誰もやらなかったこと、それもきちんと必要とされていることをやっていくこの姿勢こそ、あのLunchboxの大ヒットを生んだのではないかと思います。
NAMM SHOWではさらに新製品の発表もありましたし、(またお伝えします)今後もどうか目を離さずに、ZT Ampに注目してください!

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