究極のフィルターペダルとは?Sonuus Wahooの可能性!多彩なモード設定編!


圧倒的に多彩な音を作ることのできるフィルターペダル、Sonuus Wahooの使い方をご案内するコーナー、前回はFilterの調整をご覧いただきましたが、今回はWahooの多彩なモード設定をご覧いただきます。

WahooのModeコントロールは、他のLevel、Filterとは少し違った制御をします。Wahooの2つのフィルターは、それぞれ個別にモードがあり、ペダル、LFO、エンヴェロープ、ピッチから選択できます。それらは2つのフィルターそれぞれ個別に設定でき、違ったモードを選択することもできます。どちらのフィルターのモードを設定するかは、Filterボタンで切り替えることできます。
Modeノブをプッシュすることでモードを切り替えることができ、▲・▼ボタンでそれぞれのサブパラメータを選択し、Modeノブを回すことでそれぞれの調整ができます。サブパラメータは、それぞれのモードごとに分けられているため、選択したモード以外のサブパラメータが他のモードに影響することはありません。
2つのフィルターが同じモードのとき、2つのフィルタは影響し合い、ヴォーカルのような音を作ることも出来ます。そして、それぞれを別のモードに設定すれば、面白い効果を得ることもできます。
※このノブで設定できるCustomモードはカスタムパラメータです。この項目は他の4つとは違う役割です。

  • Pedalモード

Pedalモードでは、スタンダードなワウペダルのように本体のフットペダルを用いたフィルター
コントロールや、MIDIコントロールによるオペレーションが可能です。
サブパラメータを下図に示します。

LFOモードでは、内部の低周波発信器(LFO)でフィルターのカットオフをコントロールします。
LFOのスピードは正確に制御することができ、さらにMIDIシーケンサーと同期させることもできます。



下図のダイヤグラムは、ShPサブパラメータで設定できるLFOシェイプの例です。ランダムシェイプは、サイクルごとに毎回違った波形になります。
1サイクルはBPMとdivサブパラメータによって決定されます。


trapezoid の波形は、細かな設定が可能です。次にその例を載せています。
Wahooではtrapezoid シェイプはramp upとrapm downパラメータで設定できます。これは波形の左側と
右側にあたります。このとき、trapezoid シェイプの1サイクルを100として設定します。そのため、
ramp upとramp downの合計が100を超えることはできません。
また、ramp upとramp downの合計が100未満の場合、余った時間は2等分され、それぞれtaで表される
時間となります。


trapezoid シェイプでは、スクエアウェーブ(ramp up、ramp down共に0)やトライアングルウェーブ(ramp up、ramp down共に50)、saw-up(ramp up=100、ramp down=0)、saw-down(ramp up=0、ramp down=100)をはじめ、様々な波形を作ることができます。



tyPサブパラメータは、LFOのクロックタイプを設定できます。
クロックオプションは、bPMサブパラメータで設定したテンポ(tPo)、フィルター2をフィルター1とシンクロさせる(-F1)、フットペダルを前後させて設定するタップテンポ(tAP)、bP.hとbP.Lで設定した間で、フットペダルのポジションによりテンポを設定する(PEd)、MIDIクロックとシンクロさせる(Syn)の設定が可能です。
テンポはbpm(beats per minute)で表現されます。サブパラメータのbPM、bP.h、bP.Lは10〜999までの値で設定できます。さらに速い、または遅いテンポ設定が必要なら、divサブパラメータを設定します。
divサブパラメータは、tyPで設定されたクロックソースのテンポに対する倍率を設定できます。
例えば、フィルター1のtyPがtPoに設定され、bPMが120、divを2に設定、そしてフィルター2のtyPを-F1として、divを1/2にした場合、フィルター1は240bpm、フィルター2は60bpmで動くことになります。
フィルター2をフィルター1とシンクロさせる設定(tyPを-F1)とし、PhAパラメータを使って2つのフィルターの位相をオフセットさせることができます。PhAが0の時、フィルターは同じ動きとなり、32に設定すると逆の動きとなります。0と32の間の設定では、2つのフィルターの動きがずれた動きになります。
下図に、16と32に設定した場合の例を示します。


  • エンヴェロープモード

エンヴェロープトラッキングモードでは、下記のサブパラメータがあります。

エンヴェロープトラッキングモードでは、フィルタのカットオフ周波数をシグナルレベルでコントロールします。つまり、入力信号の音量の上下に合わせて、フィルターのカットオフ周波数が上下するという仕組みです。
SEnはセンシティビティを調整するサブパラメータです。このパラメータで、インプットシグナルに対してどの程度追従するかを調整できます。高くすると、小さなピッキングタッチの違いでフィルターをコントロールすることができ、低くすると強く弾いたときにのみフィルターをかけることができます。
AttとdECは、音量の上下に対し、どの程度速く追従していくかの設定で、レスポンスの調整ができます。
Punは、新しい音が入力された時にフィルターのレスポンスを増大させる設定で、簡単にパンチの効いたダイナミックなサウンドが得られます。特にSEnとdECが低く設定されているときにより強い効果が得られます。
ご注意:センシティビティは、接続する楽器の違いに合わせて設定することもできます。例えば高出力のベースと低出力のベースでは、センシティビティの値を変更しないと同様のエフェクトが得られなくなります。しかし、楽器間の調整については、このパラメータよりも、カスタムモードのグローバルSEnパラメータで設定されることをおすすめします。

  • ピッチモード

ピッチモードでは、以下のサブパラメータを調整できます。

ピッチモードは、tyPサブパラメータでピッチトラックとピッチベンドによるモードを選択できます。
この効果は、Sonuus独自の正確なピッチ検出と高速トラッキング技術によるものです。

ヒント:ピッチトラッキングは、モノフォニック(単音)の技術ですが、Wahooでは和音を弾いてもご使用いただけます。その際、Wahooはドミナントノートを検出し、そのピッチをトラッキングしてフィルタをコントロールします。よりクリアにピッチトラッキングを行いたい場合は、単音でのプレイをお試しください。

ピッチトラックモード(trA)は、Wahooのフィルターのカットオフ周波数を、プレイするピッチによってコントロールするモードです。パラメータは、ピッチを変えたときにどういう動作をするかを設定します。ピッチトラッキングは、FrEサブパラメータによりプレイした音程からオフセットさせることができます。FrEの値がプラスなら最大4オクターブ上まで、マイナスなら最大4オクターブ下までの範囲で設定可能です。他の2つのパラメータは、フィルターセットアップのfreq-hiとfreq-loによりコントロールされます。
ピッチトラッキング周波数は常にfreq-hiとfreq-loの間の値となります。つまり設定した周波数の範囲内であればピッチに合わせてフィルターを可変できるということです。(シンセサイザーのキートラック設定に似ています。)
このピッチトラッキングモードは、シンセのような音をはじめ、様々な音を作ることができます。
例えば、ローパスフィルターを使い、倍音成分をあえて除去し、楽器の基音のみを出力するようなこともできます。フィルターのサブパラメータ、ShPがLinに設定されている場合のみ、どの音域でも正確なトラッキングが可能です。他のセッティング(Lo9〜Hi9)の場合、プレイに対してフィルターが追従するポイントを設定できます。そうすると、予測の難しいさらに変わった音を作ることができます。
ピッチベンドモード(bEn)はピッチベンドをした際にフィルターを動かすモードです。
フィルタを最大まで動作させるためにどの程度ピッチベンドが必要かを、S.tnサブパラメータの1〜36半音の間で設定することができます。楽器に合わせて設定してください。
設定する値が大きすぎると、どれだけピッチベンドしてもフィルターが動かない場合もあります。大きな値は、例えばピッチシフトペダルに合わせてフィルターを動かす場合や、トレモロブリッジ、ボトルネックなどを使う場合に使用します。ピッチベンドの両端は、freq-loとfreq-hiによって設定されます。ベンドの基準点はrEFサブパラメータにより設定できます。ベンディングを行う前は、基準点はフィルターのカットオフ周波数となります。
例えば、基準点(rEF)がBottomに設定されていれば、ベンドを行った際にフィルターのカットオフ周波数が下がります。ピッチベンドで音程を上げると、フィルターカットオフ周波数はfreq-hi側に動きます。
基準点の設定による動きについては、下図を参照してください。

ヒント:ピッチトラッキングは、ギター、4弦ベース、5弦ベースの中からご使用の楽器に合わせて設定できます。

 
今回は少し複雑だったかもしれません。しかしSonuus Wahooの機能を掌握するためには避けることはできません。
次回は、トーキングモジュレーターとして母音を発声させる設定をご案内します!