Noelイワタ氏にインタビューです。

さて本日は、ナインボルトで昨年から取り扱いが始まった日本ブランド、
Noel(ノエル)にお話を伺ってきました。
熱い話を聞くことができたので多少文章が長くなってます、が、読んでいただければ想いも伝わってきますので、
気になられている方はぜひ読んでみてください!


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<9V>さて本日は忙しい中、ありがとうございます。
早速ですが、いろいろ質問をしていきたいと思います。
設立はいつ頃でしょう?

<NOEL>4年くらい前からブランドをやろうと考えていて、ずっとエフェクターの設計をしたりしていました。Noelというブランド名は2011年の春頃に決まっていました。Cornetが完成した時点でNoelとしてスタートしました。それが2011年の秋頃だったと思います。

<9>なるほど、わかりました。質問をちょっと掘り下げますね。そもそもブランドを始めようと思ったきっかけはあるんですか?

<N>もともとエフェクターを作るのが好きで自作をしていたのですが、不思議な縁で国内外のプロとしてエフェクターを製作していらっしゃる方々と交流を持つことができました。
彼らとの交流するうちに、彼らのように個性を活かしたエフェクターを製作して販売したいと自然と考えるようになっていたので…強烈ななにかがあったのではなく、なんというか…自然な経緯でここにいるという感じのほうが正しいかもしれません笑。

<9>なるほど、わかりました。ところでNoelというブランド名にはどのような意味があるのでしょうか?

<N>
語感が全てです…笑。ノエルという意味はなくて、フランス語の独特の雰囲気がとても美しいと思いまして。有名なミュージシャンとは全く関係ありませんし、冬期限定で活動するわけではないです笑。

<9>名前であったり、コンセプトであったり、思いつくところで何かテーマはあるのでしょうか

<N>にNoelであったりEtudeという言葉からも分かると思うんですけど、かなりフレンチな要素に傾倒していまして。19世紀のガラス細工であったり、芸術作品、言語の持つ独特な美しさがすごく好きで…言葉では言い表せないのですがそういうものに感化される事が多く、デザイン面や色彩感であったり、プロダクティングであったり、本当に多くのインスピレーションを受けていますね。エフェクターという枠にとらわれず、これからもそのような要素をどんどん取り入れていきたいと思っています。


<9>まずやはり第一弾Cornetについて教えてください。
個人的にもびっくりした作品でした。

<N>ありがとうございます。ロシア期のビッグマフ、Civil WarやArmy Greenと
呼ばれている個体ですね、をモチーフに製作しました。アンサンブルでの馴染み方、バランスの良いロー・ミッドの厚み、コードの分離感、ピッキングに対するセンシティブさなど、マフユーザであれば感じたことがあるであろうポイントを改善し、より「ファズ」な荒い質感を加えたのがコルネです。
ビッグマフのテイストを使ったファズペダルとして捉えていただければと思います。

<9>正直詳しいところまではわからないのでぜひ聞きたいのですが、コンポーネントなどヴィンテージテイストの相当強いものになっていますね

<N>CDEのコンデンサ以外は全てNOS品ですね。とりわけ2N5133というトランジスタを使っているのですが、今ではビンテージと呼ばれるような時期のビッグマフに搭載されていたものです、ブランドとして使用する量を確保するのが極めて極めて困難なんでが、本当に運良く大量に手に入れることが出来たのでふんだんに使用しています。
そんなN.O.S品達を世界中からかき集めて使用しています。

またラグでの組み込みもそういうヴィンテージ要素を強めていると思います。

<9>なぜラグを使用しようとおもったのですか?

<N>まず、自分も含めるフリークとしてのその目線から見たときに、
理想のファズが基板というのは、ちょっと違うかな…という思いがありまして。
ファズって内部構造であったりコンポーネントが、他のエフェクターとは少し違う世界観を持っているんですね。内部も一つの作品として捉えられるような感じですかね。
そんな中Conretの内部構造も考えなければファズとして形に出来ないと思いまして、どうしようか考える日々が続きました。よりアバンギャルドで見たことのない構造を目指し、考えに考え抜いた結果到達したのがCornetの構造でした。

次に、製作側の立ち場から見たときに合理性があったことですね。
ラグの最大のポイントだと思っているのは、接点の強固さです。大きい端子に絡めた上でハンダを流すので、接点不良の心配がほとんどありません。基板のような接点不良によるエフェクター故障はよく見られるものなので、製品としてこの部分はかなり重要なポイントだと考えています。
また修理の容易さもあります。一見複雑に見えるのですが、万が一故障した場合でも修理容易な構造となっています。とても非常に合理的な作りとなっています。

そのようなことから、ハンドメイドで出来る最大限のパフォーマンだと感じラグを使用しました。

<9>Etudeは基板ですよね?その辺も説明できますか?

<N>そうですね、ラグの合理性が発揮されるのは、パーツ点数が少なく、トランジスタのみのディスクリート構造であることなんですよ。ラグがファズ界隈だけで見られるのも納得ですよね。
なので、オペアンプを使った構造であったり、より多くのパーツを使おうとすると、強引な接続であったり、基板を用いた場合と比較するとワイアリングの量が多くなってしまったり…
Cornetのときのような合理性がなくなってしまうんです。
もちろん出来ないことはないのですが、合理性が無いのであれば基板で作った方が良いと決断しスタートさせたのがEtudeです。

<9>もともとはサブのラインという立ち位置ですよね?
そうですね、#1や#2の頃はCornetに対するサブのラインとしてよりマニアックなものをというテーマで進めていました。#3も当初はそういう路線で考えていました。
#2から#3のまでの間で少し期間が空いたのですが、この間に様々な製品を実際に手に取る機会が多く、製品のクオリティの高さを再確認しました。それと同時にまだ自分が製品製作に携わる以前に魅力を感じた製品を振り返り、その魅力を自分なりに探ってみたところ全てに通じていたのが「プロダクト」としてまとまりある完成度の高いものであった事に気づきました。


そこで今回の#3は、よりプロダクトとしてクオリティを高めていこうという目標のもと、
ジンクダイキャストの導入やそれに伴うレイアウトの変更、トップデザインや部品配置など細部も徹底的にこだわり、プロダクトとしてクオリティの高いものを目指しました。
結果としてこれまでのEtude #1、#2のようなサブ的なポジションというよりも、
#3は一つのラインとしてEtudeラインを確立させるフラッグシップという意味合いが強くなりました。


<9>Cornetのようなラインと、Etudeという2つのラインで進んでいくということですね。

<N>そうですね。Cornetのようなラグの使用といったハンドメイドを追い求めたラインと、それに対してのEtudeライン。一つのブランドの中でコンセプトの異なった2つのラインが進んでいく、それが今後のNoelというブランドの面白さになっていければと思います。


<9>#3;infinestについて、TS枠組みを超えるTSということですが、一体どのようなエフェクターに仕上がったのでしょうか?

<N>そうですね、今回はTSをモチーフにかなり大胆なチャレンジをしました。
もともと削られていたローエンドの幅を広げ、TSスタイルの重要なポイントであるミドルレンジをも大胆に削り取りました。また入出力部にある2つのバッファを省くことによる高い反応性の確保などの大胆な見直しを行いました。
結果的にピッキングに対してソリッドに反応する、高域の存在感の強いグラッシーなクランチペダルとなっています。
TSの特徴的なスムースさや、ロー・ミドルレンジが全くないので、TSよりもむしろBluesDriverの方が近いのではないかというくらい、TSサウンドからは離れました。
こうやって言わなければTSだと気がついてもらえないと思います笑。そういった意味でTSという枠から外れたものに仕上がっています。

ちなみに心臓部にはMC1458という比較的ローファイなもの選択しました。ICの独特のイナタさやハイの柔らかさが加わり、ただ高域の強いジャキジャキとしたサウンドではなく、エフェクターライクならしい味わい深いものになっています。
DRIVEコントロールはクリーン〜オーバードライブという可変幅を持っていましたが、infinestは意図的に上限下限ともに範囲をクランチの範囲内に狭めてあります。

結果として幅広くバーサタイルに使用していただけるペダルではないのですが、ある部分に特化させることによって、それでなければ表現出来ないペダルに仕上がったと思います。

  • 内部のこだわりについて


Cornetの時と同様コンストラクションもinfinestの一部と考えているので、徹底的に考え抜きました。
コンポーネントも徹底的に考えセレクトしてあります。
PRPやMKTのような色彩感のあるものや、基板上で異彩を放っているディスコンのELNA DuorexⅡや、鎮座しているSilver
Tantalum Capであったり、エフェクターではほとんど見ることが出来ない物を採用しました。
もちろんルックスだけでなく、infinestのサウンドに必要なものをセレクトしてあります。

このようにCornet同様に内部も楽しんでいただけるものになっていると思います。また先に話していたようにCornetのラインとEtudeのラインとの差別化と言いますか、コンセプトの違いが明確になっていると思いますので、その辺りも是非ご覧頂けたらと思います。

デモビデオが近日届くのでそちらも是非ご覧になっていただければと思います。


<9>なるほどブランドとしての全体像もだいぶわかりました。ありがとうございます。最後に、ブランド・ビルダーとしての目標などありますか?

<N>数年前ならまだしも、今の時代にこういうビルダーもそうですし、ブランドもあまりいないのではないかと思います。しかしながらそういうものを求めているかたもいらっしゃる思いますし、そういう物が存在する必要あると信じているので、これからも突き詰めて行きたいと思います。

<9>ありがとうございました!
まだまだ若いビルダーさんですが、真摯にペダルに向き合う姿勢に共感を覚えました。ぜひ、みなさんも触ってみてくださいね!

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