KLONEペダル4機種、まとめて比べてみました!
伝説のオーバードライブエフェクター、ケンタウロス。入手がとてもむずかしいそのペダルですが、その音を欲しがるプレイヤーのために、手頃にその音色が得られるペダルを作る。そうして作られたペダルは、“KLONE”と呼ばれ、世界のオーバードライブの中で一大勢力になりつつあります。
今回は、当店でお取扱いをしていて、現在即納可能のKLONEペダルを4つ、まとめて比べてみました。
こうして並ぶと圧巻です。これがもし全てケンタウロスだったとすれば、どれほどの空間になるでしょうか。
これは写真を撮りたかったので直列でつなぎましたが、実際は1台ずつ確認しました。
まず、簡単にそれぞれの特徴から。
Movall Audio Minotaur MM-09は、伝説のケンタウロスオーバードライブのクローンペダルで、初めてのミニサイズKloneです。まさにオーバードライブの聖杯と言うべきペダルで、多くのギタープレイヤーが夢見たトーンです。
オリジナルモデル同様、クリーンブーストとしても使用可能で、ハイレスポンスなハードオーバードライブまでのサウンドをカバーします。
ケンタウロスを入手するのはもう現実的では無いのかもしれませんが、ミノタウロスならば、その驚くべきフィールを持ったドライブサウンドを手軽にお求めいただけます。
Matthews Effects The Kloneは、様々な伝説を持つケンタウロスのサウンドを作ることの出来るオーバードライブです。
入手が難しいペダルです。かつてはただため息をつくしかありませんでしたが、今はThe Kloneがあります!
The Kloneは、オリジナル回路を忠実に再現しています。NOS 1N34Aゲルマニウムダイオードによるクリッピングは、このペダルのキャラクターの重要な部分です。
一方、The Kloneはスイッチング部をトゥルーバイパスとしたことで、多くの使い方に対応しました。オリジナルモデルのバッファは良いものですが、バッファは掛けたくないというプレイヤーには不要なものでした。
The Kloneはクリーンブースターの延長として使うことができます。そして、ハイゲインドライブとしても素晴らしいペダルです。アンプを美しくプッシュするペダルとして、生々しいトーンのオーバードライブとして、The Kloneは多彩な活躍をします。
Fredric Effects Zombie Kloneは、世界中で人気の有名な高級オーバードライブを元に作らえたペダルです。
Kloneと呼ばれるペダルは多くありますが、中でも特に上質でコンパクトなのがこのZombie Kloneです。
電気的には100%正確なクローンであり、オリジナルモデル同様のチャージポンプ回路やオリジナルと全く同じバッファーを搭載しています。
Zombie KloneのアートワークはStacey Hineによるカスタムで、プロフェッショナルなスクリーンプリントを、パワーコートを施した筐体に載せています。
電源は、DC9Vセンターマイナスアダプター(One Control EPA-2000を推奨)または9V電池駆動に対応しています。
※Zombie Kloneは、オリジナルモデルと同様、一部パーツの耐圧が低く、特にDC9.8Vを超える電圧のでの駆動は故障に直結する場合がございます。
アダプターでご使用の際はレギュレートされたDC9Vアダプターをお使いください。アダプターの間違いによる故障は、保証対象外となります。ご了承ください。
"Electro Harmonix Soul Food"
エレハモ創始者のマイク・マシューズは、トーン・マニア達に、あるペダルについて言われ続けていました。それは、価格が高沸し過ぎて手に入れられないオーバードライブの名機、Klonケンタウルスのこと。
マイクは、そんなら俺が一肌脱いでやるとばかりに、優秀なエレハモの制作チームに使命を課しました。それは、「手頃な値段で誰でも手に入るものを作れ!」こうして出来上がったのがこのSOUL FOODです。
本機は弾き心地が良く、素早く反応する素直なオーバードライブ・サウンドが特長。ブースト回路はヘッドルームが広くサウンドを鮮明にします。もうロックスターにならなくても、このサウンドを誰でも簡単に手に入れられます。
“KLONE”と呼ばれるペダルで、どれもが同じ方向を向いているわけではありません。それぞれの簡単な特徴をまとめると
・Movall:ミニサイズ、トゥルーバイパス、低価格
・Electro-Harmonix:コンパクトサイズ、トゥルーバイパス/バッファードバイパス切替可
・Matthews Effects:コンパクトサイズ、トゥルーバイパス、NOSダイオードクリッピング搭載
・Fredric Effects:コンパクトサイズ、バッファードバイパス、NOSダイオードクリッピング搭載
です。オリジナルのケンタウロスに最も近いのがFredric Effects。Matthews Effectsはトゥルーバイパスなので、KTRのトゥルーバイパスモードに近くなります。エレハモはバイパスモードはそのままKTRですが、NOSダイオードクリッピングではありません。MovallはトゥルーバイパスでNOSダイオードも使用していませんが、最も低価格で、しかもミニサイズです。
では、それぞれを弾いて、受けた印象をランキング形式で載せてみます。
- 音量
ケンタウロスはブースト的に使えます。そこで、もっとも音が前に出て音量も高く感じる順です。
- Matthews Effects
- Fredric Effects
- Movall Audio / Electro-Harmonix
- コンプレッション感の強さ
つまり、オーバードライブ的かブースター的か、です。上位ほど“オーバードライブっぽさ”が強い音になります。
- Electro-Harmonix
- Movall Audio
- Mattews Effects
- Fredric Effects
- レスポンス
ピッキングやギターヴォリュームへのレスポンスです。正直、ほとんど違いはありませんでしたが、あえて並べるとこうなります
- Matthews Effects
- Fredric Effects
- Movall Audio / Electro-Harmonix
- トレブルの強さ
高域がどの程度強めに出るか、です。
- Fredric Effects / Electro-Harmonix
- Matthews Effects / Movall Audio
- ローミッドの強さ
ケンタウロスといえば太いミッド〜ローも大きな特徴。ここはどうでしょうか。
- Fredric Effects / Matthews Effects
- Movall Audio / Electro-Harmonix
- クリーンブースターとして使えるか
ゲインを下げ、音量を上げてのチェックです。どのペダルも、クリーンブースターと言って差し支えないレベルですが、あえて細かく音の濁りなどを比較すると
- Fredric Effects / Matthews Effects
- Movall Audio / Electro-Harmonix
このような結果となりました。
まとめると、NOSゲルマニウムダイオードは、ローミッドの出方や、ゲインを下げた時のクリアさに影響を与えているように思います。ただ、Fredric Effects / Matthews Effectsがハンドメイド、Movall Audio / Electro-Harmonixはマスプロダクツ、という違いもやはりあるかもしれません。
音量はMatthewsが大きく、次にFredricでした。歪ませた時のコンプレッション感はFredricよりMattewsの方が高いですが、レスポンスはMatthewsの方が良いという結果に。正直、アンプやギターを変えれば変わるレベルの違いで、ほとんど同レベルでしたが、今回はこういう結果でした。
音色の特性、特にトレブルの出方はけっこうおもしろい分かれ方をしました。FredricとMatthews、MovallとElectro-Harmonixがそれぞれライバルという雰囲気ではありますが、Fredric Effects / Electro-Harmonixがトレブル強めの派手な音、Matthews Effects / Movall Audioがトレブルがそこまで強くないスタンダードな音です。オリジナルは時期により違いが有りますが、初期の方がコンプレッションが弱く、トレブル強めな印象ですので、最も初期型に近いのはFredricということになるでしょうか。
こうして比較して、驚いたのがMovall Audioです。さすがに比較対象がどれも格上の価格帯ばかりですのでランキングの中では地味な印象になりますが、正直申しまして、渡り合っていると感じます。KLONE系、オリジナルと比べればたしかに入手しやすいけれど、それでもまだ手を出しにくいと感じている方には、是非手にとっていただきたいペダルです。
オリジナルに近い音を求めるなら、Fredric。バイパス時のバッファーが不要ならMattews、手頃にKLONバッファーの音も味わいたいならElectro-Harmonixをおすすめします。できればJHSのモディファイも比較したかったのですが、ただいま在庫が無く、かないませんでした。
是非、ご参考になさってみてください。